freeeERP入門

●第1部 環境の変化

 

税理業界を取り巻く状況

あらゆる業種でデジタル化の波が押し寄せていますが、税理業界も例外ではありません。インターネットの普及やAIの登場により、競争は激化しています。そのため税理士にも付加価値が求められる時代となり、会計や税務+αの高度な専門性を兼ね備えた税理士が、経営者から求められるようになっています。

 

企業のバックオフィス事情

中小企業の多くがバックオフィス業務を作業と捉えてしまっていますが、SaaS市場が伸びてきている今、バックオフィスこそDX(デジタルトランスフォーメーション。デジタル技術を浸透させることで人々の生活をより良いものへと変革すること)を推進すべきです。システムはあくまで手段であり、システム導入が目的であってはなりません。ゴールから逆算して業務フローを構築した上でシステムを検討し、全体最適化を図る必要があります。

 

乱立する専門SaaS

SaaSno市場規模は年々拡大しており、もはや全てを把握することは不可能に近いでしょう。そして、優れた1つのシステムを探すのではなく、専門的な領域に特化した複数のシステムを連携する方が、結果として効率的であることは明らかです。そのためには全体最適を導き出す力が必要になりますが、その難易度はかつてないほどに高度になっています。

 

●第2部 freeeの可能性

 

freeeと他の会計ソフトの違い

freeの大きな特徴は、「取引」を基盤として実際の流れをベースに管理することにあります。従来の一般的な会計ソフトは、紙で処理していた時代の名残りがかなり残っています。一方でfreeeは、ビジネス上の実際の取引をベースに、業務フローを組み立てるためのソフトであり、EPR(統合期間業務システム)の概念で作られています。freeeを会計ソフトとして捉えるのではなく、「会計は数あるfreeeの機能のうちの1つ」と考えると、理解しやすいでしょう。

 

「取引」の概念と入金・支払管理

freeeでは実際の取引をベースに、取引の「発生内容」と「決済状況」を指定すると、システムにより裏側で仕訳データが生成される仕組みになっています。ここが従来の会計ソフトとは大きく概念が異なります。「未決済」の取引をシステム上で判別することで、銀行から明細データを取り込んだ際に、入出金が「どの未決済取引のものなのか」を推測し、消し込み処理をスムーズに行うことができます。また、freee上で決済期日も管理しているため、入金・支払が予定どおり行われているかの管理も容易に行えます。

 

freee導入の失敗例、成功例

「取引」を基盤としているfreeeにおいて、従来の会計ソフトと同じように扱おうとすると、とても使いにくいように感じ導入は失敗となるでしょう。freee導入を成功させるためには、受発注や請求・支払などの取引データがfreeeに流れて来るようシステム設計することが不可欠です。つまり、経理処理だけにフォーカスするのではなく、業務フロー全体を再構築する必要があるのです。

 

業務フロー構築のためのステップ

仕組みを構築するためには、現場への徹底的なヒアリングにより、問題点をしっかり洗い出すところから始まります。そして、あるべき姿・理想の姿を考えます。理想の姿=ゴールが描けたら、そこにたどり着くことができるように逆算して業務を設計し、ITツールを選択します。大切なのはツールではなく「設計」です。そして、そのための第一歩として「現在の業務の可視化」が必要となるのです。

 

freeeを中心に拡張する世界

これからの時代、会計ソフトは「経営管理に必要なデータとしての、会計データを集約する箱」になっていきます。会計が企業のDXにとってキーとなることは間違いないでしょう。freeeはさまざまな外部システムとの連携を実現しており、この流れをいち早く取り入れています。freeeだからこそ、DX時代を先取りしてバックオフィスを進化させることができるのです。

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